お正月気分がそろそろ抜け始める頃、スーパーの店頭に春の七草パックがたくさん並ぶ。七草粥は薬効成分とビタミンを含み、ご馳走を食べ過ぎたお腹に優しいと言われているが、お粥に浮かぶ緑の物体を観察してもどれがどの草か分からないし、体に良いということでしぶしぶと食べている人が多い。だから、たいていの子供たちは苦いからイヤだと文句を言う。それならばおいしいと言わせてやろう。七草を探して食べようではないかと考えた。
▲七草のトッピング粥
春の七草は「芹なづな 御形はこべら 仏の座 すずなすずしろ これぞ七草」と南北朝時代に四辻の左大臣が詠んだといわれる歌で有名である。だが、書籍やインターネットなどで調べてもどうもはっきり見分けられないし、中には「毒セリ」などというセリに良く似た恐ろしい野草もあるのだ。そこで私は岡山の「操山里山センター」まで出かけ、基礎知識を楽しく勉強した後、自宅周辺で七草のある場所と安全を確認しておいた。ただ、野生のスズナ(カブ)、スズシロ(大根)を自宅周辺で見つける事は不可能に近いので、栽培している人に葉っぱだけを分けていただくことにした。
こうして、いよいよ「キッズひのきしんクラブ」のこどもたちと共に七草を摘みに出かけたのである。さて、残りは五種類だが、セリはチョロチョロと水が流れる溝の脇に競り合って生え、ナズナはブドウ畑の中、ゴギョウは日当たりの良いコンクリート塀のそば、ハコベラは庭のどこにでもあった。残念ながらホトケノザ(コオニタビラコ)は結局見つけられなかったが、意外に身近なところで短時間に採取できたので子供たちは大喜びで、熱々のおかゆを何杯もお代わりをした。
▲ワンパク広場で七草を摘む
味の秘訣は七草だけを先に茹でママゴトの如く包丁で刻み、好きなだけトッピングするのである。シンプルに塩だけで味を付けた春の七草粥は、シャキシャキとした歯ごたえがあり、香り高いセリや少し苦めのゴギョウが絶妙なアクセントを加え、確かに美味だった。
店頭に並んでいるものだけが食材ではない。同じものが意外なところに発見できるのだ。周囲や足元を注意して見れば、ほら、素晴らしい「宝もの」が身を潜めているかもしれない。
H22.1月号 陽だまり語録 17
▲フィールドに出かける前の勉強会
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