高認と大検

「高認」という試験がある。かつては「大検」と呼ばれていたが、平成17年から「高等学校卒業程度認定試験」という名称になった。文科省のホームページによれば、この試験は全国都道府県各1会場で1年に2回実施され、『合格者は大学・短大・専門学校の受験資格が与えられます。また、高等学校卒業者と同等以上の学力がある者として認定され、就職、資格試験等に活用することができます』となっている。

 高認は様々な理由で高校へ「行けなかった」あるいは「行かなかった」人たちや高校を中退した人たちにとって、とても貴重な試験制度である。大学や専門学校などへの進学や各種の専門的資格を取りたくても、高卒の資格がないばかりに、いくら優秀であっても受験すらできない人たちに大きく門戸を開いているからである。

 高認は合格に必要な科目数が大検より二科目軽減され受験しやすくなったが、一番大きな違いは高校に在籍したままでの受験が可能になったことである。さらに高認で同じ科目に合格すれば、学校長の判断によっては学校の修得単位とみなされ、進級や進学ができるかも知れないのである。

 健康上の理由で休学したり、欠席が多く高校の必修単位のいくつかを修得できずに留年しそうな生徒や、いろいろな理由で高校に通えずに苦しみ、将来への不安を抱えている生徒やその家族の人たちにとってはとても嬉しい変更である。

 ただしこれには、あくまでも“学校長の判断による”いう条件があることを忘れてはいけない。無条件に適用すれば必ず制度を巧妙に利用する人たちが出てくる。たとえば、高校である程度の単位を修得した後、籍だけを置いて全く通わず自由に過ごしていても、8月と11月に実施されるどちらかの高認試験で必要な単位を取れば良い。そうすれば、学校での単位と合わせて高校卒業の資格を取ることができるというわけである。

 次号では、いくつかの問題点はあるが、大変有意義なこの制度と通信教育との併用等についてさらに詳しく述べてみたいと思う。

H30.2月号 陽だまり語録 114

陽だまり語録

あってもなくてもいいけど、あったらいいな、という食後のお茶かコーヒーみたいなエッセイです。「陽気」誌連載(2008.9~2020.12) ペンネーム: ビエン.J.K

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