続・高認と大検

先月号で「高認」について述べた。この制度によって、これまで受験のチャンスさえも無かった人たちが各種の試験を受けることができ、未来が明るく開けていくような気がする。

 ただ、残念ながらこの試験に合格しても18歳になるまでは資格を得ることができず、学歴が「高卒」とはならない。また、試験科目の中には独学で合格するのが難しく、学習サポートが必要な科目もある。

 高認対策塾や「通信制+サポート校」もあるが、かなり高額の学費が必要な場合が多い。不登校の生徒たちにとって一番望ましいのは在籍する高校へ再登校することである。しかし、それができないから本人と家族が苦しんでいるのだ。高認はそこに僅かながらも希望の光を当てることができる。高校に在籍したままでも受験でき、学校長の判断では高校での取得単位として認められるからだ。

 では、既に中退していたならばどうするのか?今の日本では全日制高校への再入学は、ほぼ不可能だ。そこで注目したいのが通信制と高認の併用である。この方法ならば学校にほとんど通わなくても高卒資格を取得できる。

 たとえばNHK学園高等学校ならば多種多様なコースがあり、ネット学習と指定された場所で1年間に2回開催される数日間の集中スクーリングに参加し、定期テストに合格すれば単位を取得できるようなコースもある。授業料も比較的安い上に公的助成を受けられ、高校生としての学生証も発行される。それぞれの家庭で好きな時間を利用し、パソコンなどを通して3年間きちんと授業を受ければ「高卒」となるのだ。さらに高認を併用すれば通信高校での定期テストで不認定となった場合でも代わりの単位として認定されるのである。もっとも定期テストで不認定の科目が、高認試験で合格点を取れるほど甘くはないが…。

 イギリスの詩人シェリーが「西風に寄せる歌」の中で、『冬来たりなば春遠からじ』と謡うように、辛く苦しい日々にも必ず春は訪れると信じて耐える人たちがたくさんいる。一緒に頑張ろうという気持ちで寄り添い、温かい春風のような声をかけていきたい。

H30.3月号 陽だまり語録 115

陽だまり語録

あってもなくてもいいけど、あったらいいな、という食後のお茶かコーヒーみたいなエッセイです。「陽気」誌連載(2008.9~2020.12) ペンネーム: ビエン.J.K

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