偶然が「最悪」救う

 昨年3月11日、東日本大震災が発生し未曽有の被害をもたらした。テレビでは連日、信じられないような大惨事が映し出され、だれもが胸がつぶれるような思いであった。さらに津波に襲われた福島第1原発では、絶対に起こらないとまで言われていた“原発事故”が起こり、緊迫した状況が連日報道されていた。

▲「陽気」平成31年4月号表紙 このような穏やかで美しい春がいつまでも続きますように

 地震発生の翌日から3日間、本部神殿で正午を期して、真柱様が拍子木、前真柱様が数取りで、被災地の一日も早い治まりの「お願いづとめ」が行われ、関係者をはじめ、ようぼく・信者が多数駆け付け礼拝場を埋めた。

 この時、私たちの耳目は運転中に恐ろしい爆発事故が発生した原発の1号機から3号機に引かれていたが、実はそれよりももっと恐ろしいシナリオが同時に進行していたというのだ。

 今年3月8日、朝日新聞の一面に次のような記事が掲載された。「偶然が『最悪』救う・福島第1原発4号機』。以下記事を要約するとーーー東京電力福島第1原発の事故で日米両政府が最悪の事態の引き金になると心配したのは、点検中だった4号機の使用済み核燃料の過熱・崩壊だった。核燃料プールの水は事故による燃料の崩壊熱で蒸発していた。このまま水が減り続け核燃料が露出して加熱すると、大量の放射線と放射性物質を放出。人は近づけなくなり、福島第1だけでなく、福島第2など近くの原発も次々に放棄せざるを得なくなり、首都圏の住民まで避難の対象となる最悪の事態につながると恐れられていたのである。

 しかし実際には、原子炉ウェルに普通なら無いはずの大量の水が残っていたのだ。しかも隣の核燃料プールとの仕切り壁が偶然にずれて“できるはずのない隙間”がそこにでき、プールに約1千トンの水が流れ込んだとみられることが後に分かったというのだ。

 原子力安全・保安院の幹部は「神様がいるとしか言いようがない」と話している。

 もし、その水が核燃料プールに流れ込んでいなかったら…。「偶然が『最悪』救う」とタイトルには書いているが、果たして本当にそうだったのだろうか?私には、決して偶然だったとは思えない。

H24.10月号 陽だまり語録 50

陽だまり語録

あってもなくてもいいけど、あったらいいな、という食後のお茶かコーヒーみたいなエッセイです。「陽気」誌連載(2008.9~2020.12) ペンネーム: ビエン.J.K

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