スマホゲーム依存 1

 スマホや携帯電話などの電子機器は現代人にとってなくてはならないものになっている。電車やバスに乗ればほとんどの人たちが無言で手のひらに載った小さな液晶画面を見つめている。

 その姿は、隣に座っている同僚や友人らしき人たちよりもインターネットを通してつながる方が楽しく、安心できるかのようにも見える。

 確かにスマホは通話・通信はもちろんのこと、調べる・遊ぶ・つなぐ・情報を発信するなど、仕事にもプライベートにも絶大な威力を発揮している。正に専属の秘書やマネージャーのような役割を果たしてくれているのである。

 上手に使えばこれほど便利なものはない。その反面、常に情報をチェックしていないととても不安になり、片時も手放せなくなるデバイス(装置)でもある。

 また、スマホでのオンラインゲームは、いつでも、どこでも、だれでもが手軽に、しかもほとんど無料で楽しめる。この便利さゆえに今、若い世代の人たちの間でスマホゲーム依存症の危険が急速に高まりつつあるのだ。

 それにもかかわらず、スマホゲーム依存の認知度は低い。「へえ、そんな依存症あるのか?ただのゲームのやり過ぎだろう」という意見が未だに多い。アルコールやギャンブル、薬物等の依存に比べるとそれほど深刻に考えられないのかもしれない。

 しかし、昨年6月18日にスイスのジュネーブでWHO(世界保健機構)が公表した国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)では「ゲーム障害」として正式に疾病として認定された。

「いつまでもゲームをするのは意思が弱いからだ」とか「親の育て方がなっていないからだ」と安易に意見を述べる人がいるが、スマホゲーム依存は誰でもが陥り易く、決して軽視できない病気の一つなのだ。このことをまずしっかりと認識しなければならないと思う。

 ただし、「ゲーム障害」は専門医によって診断されるものであり、科学的根拠のない「スマホ依存度テスト」などで素人が迂闊に判断してはいけない。では、私たちはどのようにしてスマホに関わっていけば良いのか、次号で述べてみたいと思う。

H31.4月号 陽だまり語録 128

陽だまり語録

あってもなくてもいいけど、あったらいいな、という食後のお茶かコーヒーみたいなエッセイです。「陽気」誌連載(2008.9~2020.12) ペンネーム: ビエン.J.K

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