スマホゲーム依存 2

 スマホゲーム依存がなぜそんなにも問題なのか。それは他の依存症と比べて、罪悪感が軽く簡単にゲームにはまり、驚くほどの速さで依存が進むからである。

 ほとんどのスマホゲームは無料で始められる。学校での友だち付き合いが苦手な子どもたちでも、ゲームを通して仲間ができる。たとえばチームを作り、協力して難しいゲームを攻略することも可能だ。競い合うことによってゲームの腕が上がれば尊敬され、ネットの中での知名度も高くなる。そうして、現実の世界で満たされなかった心に快感が芽生えてくる。しかし、そのポジションを守ろうとすれば時間とお金をかける以外にない。スマホゲームの怖さでもあるのは、終わりがないことなのだ。

 1989年に売り出され、爆発的人気を得た持ち運びのできるゲーム機「ゲームボーイ」や、1994年に発売された「プレイステーション」などの家庭用ゲーム機には、本体とは別のゲームソフトと呼ばれるカセットやディスクが必要だった。それらをたくさん所有し、次々とクリヤーしていった人たちが友だちから称賛されていた。だが、それらには明確なゴールがあり、一度到達すれば十分だったし、次のソフトが開発されるまで待つしかなかった。

 ところが、スマホゲームには終わりがない。たとえゴールしたとしても、次々に新しい強敵が現れたり、刺激的で魅力たっぷりの続きを見せられるのだ、しかもタダで。だから家族や周囲の人たちが気づいた時には、どっぷりと浸かっている場合が非常に多いのである。

 その上、「ゲームばっかりせずに少しは勉強しなさい」とか「食事の時ぐらいはゲームをやめなさい」とか、スマホをいじりながら注意する親もいるのだから、事態は深刻化している。

「スマホを取り上げればいいんじゃないか」という意見がある。極論的にはそうかもしれないが、専門家のアドバイスを受けずに強制終了させることは、心に大きなダメージを与えることがある。大切なことは正しい知識を持ち、学校や家庭で話し合ってルールをつくることだ。ではどんなルールが必要なのか、次号で述べてみたい。

R1.5月号 陽だまり語録 129

陽だまり語録

あってもなくてもいいけど、あったらいいな、という食後のお茶かコーヒーみたいなエッセイです。「陽気」誌連載(2008.9~2020.12) ペンネーム: ビエン.J.K

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