生活習慣病

  6月の中ごろ、胃がん・大腸がん・「生活習慣病予防検診」など、毎年恒例の健康検査を受けた。生活習慣病は、高血圧・脂質異常症・糖尿病・肥満が代表的なもので、名前が優しいからと言って決して見くびってはいけない。

▲ 過ぎては、いけませんね

 アメリカの研究者・カプランはこれら4つの症状が合併した状態を「死の四重奏」と表し、その予防を提言している。生活習慣病は心臓病、脳卒中などを招く動脈硬化につながる恐ろしい病気でもある。

 さて、検査当日、絶食して血液検査に行くと年配の看護師がえらく丁寧に応対してくれた。ところが、このお方、とても言葉が多いのである。

「今日、初めての方だからなんだかとても緊張しているんです」「あれ?注射針が血管の中まで届いていないのかなあ、(血液の)出が悪いですね」とかつぶやきながら「でも心配しないでくださいね」と言われても、こちらは余計に不安になるのだ。正直なのはいいことかもしれないが、正直過ぎると返って逆効果になるものだ。こんなときは相手に安心感を与えるためにもある程度の演技力が必要なのである。と、このようなことを書きながら、自分も同じような過ちを犯しているかもしれないと思った。

 たとえば、自分の手に負えないような難しい問題を相談されたときなど、心の中では(どうしようか、こまったなあ)とオロオロすることが多々ある。そのような心理状態を相手に気づかれると、信頼度が急降下して困ることになる場合だってある。しかし、独力で助けようとするから困るのだ。たすけの主はあくまでも神様であり、自分は取り次ぎをさせていただいているだけだと考えれば、気が楽になるのである。

 さて、生活習慣病予防には、「朝起き、正直、働き」即ち、ただ早起きするだけではなく、規則正しい生活を送り、誠実な言葉を遣い、人のために動くことがたいせつなのである。ところが、私の周りには、「“遅起き、嘘つき、怠け者”の生活習慣病が治らない」と屁理屈をこねる者がいる。このような不埒(ふらち)な輩には「要至急精密検査」の通知を届けていただくことにしよう。

H27.9月号 陽だまり語録 85

陽だまり語録

あってもなくてもいいけど、あったらいいな、という食後のお茶かコーヒーみたいなエッセイです。「陽気」誌連載(2008.9~2020.12) ペンネーム: ビエン.J.K

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