何年か前の10月のことである。とある場所に知人と並んで正座していた。我々の間には、ちいさな手提げ袋が一つ置いてあるだけだった。さあ、これからおつとめが始まろうとしたとき、何かが足に当たるのでふと見ると、白いソックスが足に触れていた。
▲画像と本文にはなんの関係もありません
振り返ると見知らぬオバちゃんが会釈をしたものの、なんと私の荷物を足で押しのけ自分の足を伸ばしているではないか! 私はすこしムッとしたが、たぶんお膝が悪いのだろうと我慢した。
しかし、そのオバちゃんは図に乗ってじりじりと我々の間に侵入し、30分も経ったころには身体ごと割り込んでいた。しかもマスクもせず、大きな咳を連発するのだ。
やがて前半が終わると、人々が移動し我々の前にほんのわずかな隙間ができた。すると、そこを目指して別のオバちゃんが突進、こじ開けるようにして座られたので、気を利かせて少し移動してあげた。ちょっと良いことをしてあげたと自賛しかけたその瞬間、そのオバちゃんは立ち上がり、なんと手招きまでして別のオバちゃんを呼ぶではないか!「おいおい」と思ったが、時すでに遅かった。
オバちゃん達の攻撃はなおも続く。 身体を小さくして正座をしていると、今度は後ろから背中を定期的につつく。 後ろを見ると、別のオバちゃんが居眠りをしてコックリ、コックリとする度に、私の背中に頭突きをしてくるのだった。
割り込みオバちゃんはゲホゲホと身体を揺らしながら迫ってくるし、背中はつつかれる。(いやーっ、恐れ入りました)と思ったその時、“スワルトバートル”という言葉を思い出した。 この言葉はユーモアセンスのあった父の造語で、子どもの頃に教えてもらった記憶がある。
“スワルトバートル”とは“座ると、場~取る”、すなわち「ふくよかな御婦人」のことをさすのである。なるほどなあと、その時、実感を伴って理解できたが、どうも「ふくよかな御婦人」だけを意味するのではなさそうな気がする。
もしかすると“座ると、バトル”かなあ……。
H24.7月号 陽だまり語録 47
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