「もし 高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」というタイトルを一度は耳にされたことがあるだろう。「もしドラ」の愛称で親しまれているこの小説は、発売以来すでに250万部を超えるベストセラーになっている。
人気の秘訣は、女子高生とドラッカーという新鮮で意外な組合わせ、野球部を舞台にマネジメント(経営管理)を実践、アニメ的魅力のある表紙や挿絵、文字数が少ない割には本に厚みがあり読後の満足感がある。そんなところかなと分析してみた。
学生時代にドラッカーを読んだときはすぐに眠たくなったが、今、もし教会長がマネジメント読んだらどうなるかを試してみたいと思った。そこで押入れの奥から「ザ・プラクティス・オブ・マネジメント(現代の経営)」を探し出した。この本は、小説の主人公が読んだ「マネジメント」よりも古い時代に執筆されたものだが、ドラッカーの唱える経営理論にブレがあるかどうかも興味深かった。
さて、読み進めていくと実に面白い。ぐいぐいと引き込まれていった。約1カ月かけて読み終え、興奮が冷めないうちに「もし天理教の教会長がドラッカーの『マネジメント』を読んだら」というエッセイを書た。
結びの一部だけご紹介すると、
ーーー「安く買って高く売ること、すなわち最大利潤の追求が事業の目的ではない」また「事業はそこに働く人々の幸福に貢献し、社会の安定と存続に寄与しなければならない」とドラッカーは述べている。そうか、これこそが彼の終生変わらぬ経営哲学だったのかと感慨にふけった。しかし、教会長はそのときあることに気付いたのである。これは、もしかすると…。
「商売人はなあ、高う買うて、安う売るのやで」(天理教教祖伝逸話編165)
「働くというのは、はたはたの者を楽にするから、はたらく(側楽)と言うのや」(天理教教祖伝逸話編197)と同じことじゃないか。ーーー
20世紀が生んだ「知の巨人」、経営学の神様ドラッカーの『マネジメント』の真髄は、教祖のお言葉と奇妙に一致していたのである。
H23.7月号 陽だまり語録 35
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