SL便

 私たちの岡山教区には「石炭会」という布教師の集まりがある。「我ら布教師はすべからく(お道という)機関車の石炭となれ」を合い言葉に、切磋琢磨しながら真剣に布教を志す会である。

▲ 題字は、寮長・原田義徳先生

 この石炭会と教区布教部が協力して毎月一度、「教区SL便」を運行している。SL便とは、この石炭会にちなんで名付けた名前で、教祖百三十年祭まで、「別席の方をお連れしたい。年祭活動期間中にしっかりとおぢばがえりしたい」と願っている方なら、誰でもが利用できる格安のおぢばがえりシャトルバスである。

 昨年の12月14日、このSL便のドライバーを務めた。奇しくも奈良マラソンの開催日と重なり、親里もそのコースに含まれていた。ご承知のようにマラソンの開催地では面倒な交通規制が多い。たとえば、天理市内では午前9時から午後1時半ごろまで北大路や銀杏並木の美しい親里大路などが全面規制になり、ランナーの走行中は自動車の通行や横断ができない。このため時間通りに到着できるかどうか心配だったが、あらかじめルートを入念に調べていたので大きな渋滞にも合わず、12時の「定時のおつとめ」に間に合った。第五食堂での昼食後は、別席・基礎講座・回廊ひのきしん・教祖御墓地参拝や詰所訪問など、それぞれがおぢばでのひとときを過ごした。参加者の中には十数年ぶりにおぢばがえりできたという方もあり、とても喜んでおられた。

 帰路のバス車中も終始和気藹々とした和やかな雰囲気で、観光地にはどこにも寄ることができなくても、親里の空気を存分に味わえた喜びにあふれていた。    

 SLは、蒸気機関車を表す英語:スチーム・ロコモーティブの和製英語である。つまり、熱い心を持つ布教師達を燃料の石炭とイメージして名付けたものなのだ。「ときどき黒い排気ガスを吐くから、ぴったりだろう?」と、マイクロバスを快く貸して下さった教会長さんには、日頃の心安さもあり大変失礼なことも申し上げたが、実はSL便にはもう一つの願いをこめているのだ。

 それはSMILE、そう、笑顔なのである。教区SL便は今月も、笑顔を乗せておぢばに帰る。

H27.3月号 陽だまり語録 79

陽だまり語録

あってもなくてもいいけど、あったらいいな、という食後のお茶かコーヒーみたいなエッセイです。「陽気」誌連載(2008.9~2020.12) ペンネーム: ビエン.J.K

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