「おはようございます!」明るい声と共に自転車に乗った青年がニコッとして通り過ぎていった。短髪で外見はいかついが、とても心の優しい男である。こんな日は朝から気持ちが良い。
ところが、別の日に同じ場所で登校中の小学生グループに「おはよう」と声を掛けたら無視されてしまった。聞こえなかったのかなと再び挨拶したが、全員が知らんぷりして通り過ぎていった。「知らない人に声をかけられたら用心しなさい」と学校で注意されているのだろうか、でも残念だなと思った。
それからしばらくして、校長先生に会う機会があったのでお尋ねすると「そんなことはありません。ぜひ、声がけをしてやって下さい」と答えられたので飽かずに続けていたら、やっと小さな声で挨拶を返してくれた。きっと、恥ずかしがりやさんだったのだろう。ごめんねと心の中で謝った。
挨拶は、人間関係を円滑にするためにも必要なものである。特に時候の挨拶などは無難で便利なものだが、明治維新の十傑の一人に数えられる大村益次郎は、「暑いですね」と挨拶をされても「夏は暑いのは当たり前です」とそっけなかったらしい。このような御仁には、用事が無い限り近寄りたくないものである。
さて、インターネット上に「おぢば」で挨拶をする会がある。この会の主催者に天理でお会いし、挨拶をするとオリジナル缶バッジをいただけるという情報をつかんだ。そのころ、私は天理に滞在中だった。ちょうど良い機会なのでチャレンジすることにした。だが、私はこの先生に一度もお会いしたことがなかった。
「どうすれば知らない人に挨拶できるのか、そうだ全員に挨拶すればよいのだ」と閃いた。そこで私は、参拝の道中や本部で出会った全ての方々に笑顔で「こんにちは~」と声をかけた。すると、その時はお会いできなかったが、スマホで私の情報をつかんだ先生がわざわざ宿舎まで面会に来てくださったのである。私はとても嬉しくなり、その後も挨拶を続けたら、ほとんどの方が笑顔で応えてくださった。
相手が挨拶もしないと眉をひそめるよりは、こちらから先にした方が気持ちがいいなと、改めて思った。
H28.2月号 陽だまり語録 90
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