(平成25年6月号「陽気」陽だまり語録)
“アベノミックス”という言葉が脚光を浴びている。大阪市南部辺りにあるお好み焼き屋のメニューのようにも聞こえるが、不況からの脱却を目的とした第2次安倍政権の経済政策で、「金融政策」・「財政政策」・「成長戦略」といういわゆる“3本の矢”を基本方針としている。まあ、私の浅はかな知識で政治や経済のことなど述べるつもりはないが、少しでも景気が良くなって世の中が明るい方向に向かってほしいものである。
さて、ご存知のように「3本の矢」とは、戦国の武将、毛利元就が息子たちに「一本の矢なら簡単に折れるが、3本を纏めると簡単には折れない」と、三兄弟の結束を強く求めたという有名な逸話である。この逸話の真偽はさておき、自教会の参拝場にはこの毛利家の子孫が制作されたふくろうの陶器がある。高さ20cmくらいの青緑色の置物で、中に電球を入れれば照明器具にもなるという優れものである。
ある日の朝づとめ後、元気一杯サッカー大好き少年の一人に「会長さん、サンフレッチェ”ってどういう意味?」と、広島のプロサッカーチーム名の由来を尋ねられた。そこで私は、この「ふくろう」を手に取り「サンは三で、フレッチェはイタリア語で、弓矢の矢を意味するらしいよ」と言いながら、先の逸話を紹介した。彼らは中2を筆頭にする小6と小4の三兄弟であるが、実はもう3年も前からこどもたちだけで毎朝、登校前に参拝しているのである。この逸話が自分たちと同じ三兄弟にまつわる話だったので、とても気に入ったらしく、3人とも神妙に聞き入り、「サンフレッチェ、サンフレッチェ」と呪文のように唱えながら登校していった。
後日、彼らのお母さんにこの話をしたところ、「あの日は一日中、サンフレッチェを唱えて嘘みたいに仲が良かった。でも、一日だけで終わり。次の日は、もう元通りで、兄弟げんかばかり」と、ため息をついておられた。
“元通り”じゃなくて“元就”なんだけどなあ……まあ、いっか。
H25.6月号 陽だまり語録 58
※本文掲載にあたり、著者おことわり
このエッセイを執筆した時、まさか10年後に安倍元首相が銃撃され死亡するなどとは想像もつきませんでした。このような悲惨な事件が二度と起こらないことを念願するともに、安倍元首相のご冥福を衷心よりお祈りいたします。
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