2月の終わりごろ、岡山教区で「鷲羽会」が開催された。この会は布教を志す者なら誰もが参加できる会で、今年は管内在住の布教師やようぼく、布教の家「岡山寮」の寮生およびOBら76人が参加した。
この日、10班に分かれた参加者たちは市内各地へとにおいがけに向かい、合計で1070軒を戸別訪問、うち8軒でおさづけを取り次がせていただいた。私は引率した班のメンバーをさらに3組に分けたのだが、共に歩いた中に、初対面で偶然一緒に歩くことになった若い教会長と他教会の役員夫人がいた。
1軒ごとにチャイムを押して戸別訪問に歩きながら、若い教会長は何気なく「岡山に母のいとこがいるらしいんですけど」と、名前も知らず、その存在だけを聞いていた女性の話をした。すると、なんということだろうか、今、話した相手がまさにその本人だったのである。嬉しそうに話す二人を見ているとこちらも楽しくなり、明るい気持ちでにおいがけをさせていただいた。
▲岡山教務支庁と「布教の家」岡山寮
また教務支庁へ帰る車中、こんな話で盛り上がった。布教寮OBのN君がまだ岡山に来たばかりのころ、土地勘がまったくなく、市内を布教中に迷子になった。そのとき、道を歩いていた年配のご婦人に話しかけたら、偶然にも彼女はお道の信仰をしている方だったのである。立ち話をしている間に誘われて近くのスーパーに入り、コーヒーをごちそうになった。そのうち、彼が昼食を摂らずに一日中布教に励んでいることに気づいた彼女は、「若い子がかわいそうに」と思い、巻き寿司を買って彼にすすめた。ところが彼は、決して食べようとない。「どうしたの」とたずねたら、寮に持って帰って仲間と食べたいと、一本の巻き寿司を大切そうに見つめていたというのである。
それから1年間の布教寮と2年間の単独布教を経て、この春故郷のおぢばに帰るという彼は、このご婦人と同じ班になり、一緒に戸別訪問をしてまわった。
「〇大くんは、岡山に来て、ほんとに大きくなったわ」彼女は目を細め、布教師として一段と精悍になったN君を褒めちぎっていた。なるほど神様は、粋なお計らいをなさることがある。
H25.5月号 陽だまり語録 57
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