車のラジオから井上陽水の『夏まつり』が流れてきた。「十年はひと昔~♫」少し鼻にかかった特徴のある美しい歌声だ。聴いているうちに次々と40年も前のノスタルジックな情景が浮かびあがってきた。帰宅してふと十年前のことが気になりインターネットで調べてみた。
すると、ハンカチ王子、イナバウアー、生キャラメル等がヒットし、懐かしむより「へえ、もう十年も経ったのか」と驚いた。十年一昔、歳月の流れはたしかに速いものである。では十年前にはなかったが、今では普通に見られるものはなんだろう?
LED照明、羽根の無い扇風機、スマホなどハイテク機器が多いが、やはり特筆すべきはスマホであろう。スマホは、単なる移動通信機器から有能な専属秘書のごとき存在へと進化しつつあるようだ。その便利な機能の一つに音声翻訳がある。これを使えば百以上もの言語の双方向翻訳をしてくれるのだ。
しかし、これなら世界中何処へ行っても言葉に困ることは無い。もう外国語の勉強なんか必要ないと思うのは、いささか早計である。なぜならば翻訳された言語が本当に正確かどうかは勉強した人にしか分からないし、正しく発音しないとまるで正反対の意味に訳される場合さえもあるからだ。
たとえば中国語→日本語機能を利用するとき、中国在住の長女が発音するときちんとした日本語に翻訳されるが、私が同じ中国語を発音すると、とんでもない日本語に変換されてしまうのである。
天理市内のある詰所でも、アフリカから来た女性とスマホを介して話したら、ちんぷんかんぷんな会話になって、お互いが余計なストレスを抱える結果になってしまったそうである。いずれだんだんと改良されていくだろうが、やはり努力無くして楽なものを手に入れようとすれば、大変なリスクを伴うことも覚悟しておかなければならないのだ。
さて、「三十年前にはあって、今はないもの」という問いに対して、「髪の毛」とか「本当にチンという電子レンジ」とかいう答えがあって笑ってしまった。懐かしいような、哀しいような、昭和は遠くなりにけり。
H28.8月号 陽だまり語録 96
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