ヘルシンキで花見を

 フィンランドの首都・ヘルシンキ郊外にロイフヴオリ桜公園がある。

2007年に開園したこの公園には、日本風の庭園もあり、隣接する桜公園には、現在では約280本の桜が植えられている。
                       ※写真と本文内容は関係ありません

  ▲フィンランドのお寿司チェーン店(ハンコといっても、印鑑ではありません)

 フィンランドに住む長女から「ヘルシンキでも花見ができるのよ」と聞いて驚いたのだが、ここでは毎年5月から6月にかけて濃いピンク色のきれいな桜が開花し、多くの花見客が訪れる。2008年からは毎年「HANAMIフェスティバル」が開催されて、フィンランド人とヘルシンキ在住の日本人など、約2万人もの人が集まるという。

 フェスティバルには、寿司、カレー、焼き鳥、今川焼などの屋台がでたり、日本文化を紹介するブースがたくさんあり、舞踏、生け花、折り紙、茶道、演武、琴の演奏等を楽しむことができる。またパラパラダンスやアニメのコスプレコンテスト、柴犬や秋田犬のイベント等も開催されて、日本のお祭りのような雰囲気が味わえる。

   ▲映画「かもめ食堂」にも出てきた「ハカニエミマーケット」
 

 ここに来る人たちは、日本に興味があるかどうかは別にして、公園にきれいな花が咲くのを知って訪れるタイプと、娘夫婦のようにイベントや人込みは苦手だが、その前後の天気が好い日にゆっくりとピクニック感覚で来るタイプの人たちに大別される。

 フィンランドでは、公園は市民の憩いの場であるので、日本のように酒を飲んで大騒ぎする「花見」という習慣はない。お天気の好い日に家族や友人と美しい桜を見ながら、持参したお弁当を食べたり、本を読んだり、あるいは何もせず、ただゆったりとした時間を過ごすことが一番の楽しみだという。

 花見は余裕があればこそできるイベントである。日ごろのストレス発散のためかもしれないが、飲んで大騒ぎして、後はゴミだらけでは恥ずかしい。桜は花見客のためだけに、咲いているのではないのだから。

R2.5月号 陽だまり語録 141

                          ▲初夏のフィンランド

陽だまり語録

あってもなくてもいいけど、あったらいいな、という食後のお茶かコーヒーみたいなエッセイです。「陽気」誌連載(2008.9~2020.12) ペンネーム: ビエン.J.K

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