「おはしも」

 最近、どうも天候が変である。11月ごろに台風がきたり、これまで日本ではめったになかった大きな竜巻が起きたりしている。この先どうなるのであろうかと想像すると、異常気象が異常と呼べなくなるような気がして、とても不安である。

 さて、海沿いの町で私たちの教会は少し高い所にあるので、津波や高潮などの災害時に利用できる民間避難所として市へ届出をした。そこで9月の中ごろ、ちょうど台風のシーズンでもあり防災への関心が深まる月だったので、いつもの“キッズひのきしんクラブ”を兼ねて1泊2日の「防災訓練おとまり会」を開催した。

 当日は、教会を避難所と想定したため、参加するこどもたちやスタッフには入浴を済ませて来てもらい、夕食、夕づとめ、鳴り物練習、災害救援のエピソードを盛り込んだ講話の後、防災学習を行った。この中で民間避難所に備えられるいろいろな防災グッズやアマチュア無線機、市から提供された水や非常食、毛布等の備蓄物資などを紹介した。

 続いて長男が職場での経験を生かして避難訓練や防災クイズを行ったのだが、ここでタイトルの「おはしも」が登場する。この言葉を見て、すぐにピンときた人は、教育関係者か防災訓練にかなり興味がある方に違いない。

 「 おはしも」とは、避難するときの留意事項を、お:押さない、は:走らない、し:しゃべらない、も:戻らない という頭文字で表したものなのである。このような防災訓練をこどもたちと共に体験すると、とても参考になることが多い。たとえば、知っているようで知らなかった消火器の正しい使い方や、「おはしも」のような避難の仕方なども練習できた。また、参拝場で参加者全員が寝袋を利用して寝たのだが、興奮してなかなか休まないこどもたちに何度注意しても聞いてもらえず、結局大きな声で叱ることしかできない自分の未熟さを反省した。

 災害が何も起こらず、このような防災訓練が不要になれば一番いいのだが、なかなか難しい。やはりお互いが助け合う生き方を学び、実践する以外に方法はないのかもしれない。         H26.1月号 陽だまり語録 65

陽だまり語録

あってもなくてもいいけど、あったらいいな、という食後のお茶かコーヒーみたいなエッセイです。「陽気」誌連載(2008.9~2020.12) ペンネーム: ビエン.J.K

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